内装・設備から構造・外観までを全面改修 新築同然に生まれ変わったコンパクト二世帯住宅
老朽化した家屋の寿命を延ばす、スケルトン状態からの構造補強
ご夫婦とお母様の3人家族が暮らすI邸。約30坪の敷地に建っていた旧家屋は築40年で、リフォームの理由はやはり耐震化と老朽化、開放感のある間取りの実現でした。実際、外壁や屋根といった外見的な傷みだけでなく、壁の中の構造材も腐食が進み、シロアリの被害もかなり拡大していました。
もちろん「新築への建て替え」という選択肢もありますが、都市部ではここ数十年で建坪率や容積率が厳しく規制されており、古い家屋を建て替えると以前より規模が縮小されるケースも数多く見られます。I邸も同様で、もともとの規模を維持しながらデザインや構造を一新するには既存の屋根や壁を全て取り払い、一度骨組みだけに戻して建物全体を造り直す“スケルトン・リフォーム”が最も効果的。I邸は「都市部における老朽化家屋の再生」という問題への典型的な解決事例と言ってもいいでしょう。
明るく広い空間とオール電化。少人数でも“二世代型”を意識
レイアウトは古い日本家屋にありがちな“細かい間取り”を一新。オープンなスペースづくりを心がけ、サッシなどの開口計画も見直した空間づくりは「明るく、広く」というオーナー様の要望に応えたもの。スケルトン状態からのリフォームは既存の構造を活かしながらレイアウトし、水廻りや階段の位置も大きく変わっています。
基本的なゾーニングは、1階が高齢のお母様の居室とくつろぎを共有出来るLDK、水廻りといった家族の共用スペースで、2階は“プラスαの空間”としてロフトを設けたご夫婦のプライベートスペース。3人家族のコンパクトな住まいながらも“二世代対応”を意識した空間構成です。また、キッチン、バスルーム、トイレなども全て最新設備にリフォーム。とりわけモダンに生まれ変わったシステムキッチンは安全面からもIHクッキングヒーターを採用。白を基調としたインテリアコーディネートは“新築のデザイン住宅”にしか見えません。
屋根や外壁、開口部(サッシ)なども全面改装されており、「見た目」の変化だけでも充分にインパクトはありますが、I邸の最重要ポイントは何と言っても万全の「構造補強」。住宅としての快適性や使い勝手だけでなく、建物自体の寿命を延ばすことも強く追求したリフォーム事例なのです。